iPhoneが水没してしまった場合みなさんならどう対処しますか?
インターネット上にある情報はメリット、デメリットがたくさんありますが、タイトルにもある米や乾燥剤 (シリカゲル) などは絶対に使ってはいけない物です。
iPhone修理のプロは、米、乾燥剤 (シリカゲルなど) を使う事はありません。
米や乾燥剤を使った色々な噂が先行してしまっておりますが、間違った対処法を行う事で今よりも重症にさせてしまう事を知っていただく為にこの記事を書いております。
以前医療に関しての間違った情報がインターネット上で飛び交っておりましたが、今回のiPhoneを米や乾燥剤で直った!という間違った情報は似ている気がしますね。
iPhoneが水没した!大事なデータはどうなるの?
iPhoneを水没した時に真っ先にお考えるのがデータではないでしょうか?
iPhoneはandroidなどの端末と違いSDカードなどを差し込む事ができませんので、データに関してはロジックボード上にあるNANDに入っております。
iPhoneのNANDはロジックボードにハンダづけされているために簡単に取り外すことはできませんが、androidなどの端末の場合はSDカードにデータを移動できるために取り外すだけでとりあえずデータは退避できますね。
iPhoneの場合はロジックボードが完全に壊れる前に対処をしないと簡単にデータは無くなってしまいますので注意が必要です。
もし水没して電源が入らなくなってしまった場合は最寄りのiPhone修理店に相談される事を強くお勧めします。
米や乾燥剤を使った後に修理店に持っていくのではなく、何もしない状態で持っていくようにしましょう。
iPhoneが水没してしまった場合にはどうすれば良い?
水没で多いのがトイレ、お風呂、海です。
海に関しては期間限定な所がありますが、水没修理で一番大変なのは意外にも海で水没をさせてしまった場合です。
海は非常に多くの塩分を含んでいる為に錆が回りやすいのが特徴的です。
また海水浴は基本的には夏ですが、夏は水分が蒸発しやすい時期でもありますのでこの蒸発、乾燥が水没には最も大敵となります。
結論を先に行ってしまうとiPhoneを水没させてしまった場合は何もせずに乾燥させてはいけません。
もちろん米びつに突っ込むようなこともNGです。
インターネット上によくある情報で、「米や乾燥剤を使うと直った!」というのはかなり奇跡的か、その後電源が入らないと行った症状に見舞われているかもしれません。
水没をさせてしまうパターンとしてiPhoneが少しだけ濡れてしまったではなく、ドボン!と丸ごと水没している場合の方が多い為に適切な対処が必要です。
ですのでiPhoneを丸ごと水没させてしまった場合はお近くの修理店にすぐに相談されることをお勧めいたします。
誰でもできる対処法ですが、万が一水没させてしまった場合は家庭でよくあるジップロックに入れる事をお勧めします。
ジップロックに入れる事でiPhone内部に入ってしまった水分を蒸発させない役割がありますが、何もしないでそのままにしていると勝手に水分が蒸発してしまいます。
先ほども記載をしましたが、蒸発する事で基盤が腐食し錆が回ってしまいますので、ジップロックがすぐに用意できない場合でもスーパーの袋で代用は可能です。
米や乾燥材の情報が飛び交っておりますが、適切な対処 (分解調査、洗浄、修理) をしてからそれらを使うのは問題ありませんが、何もしないで米、乾燥剤を使う事は間違っておりますので注意してくださいね。
iPhoneが水没した場合にかかる修理費用
iPhoneが丸ごと水没してしまうとほぼ全てのパーツが水に濡れたことになりますので、内部を綺麗に洗浄しただけでは直らない事があります。
まずは画像をご覧ください。
水没してしまったiPhone6を開封している所ですが所々に水滴がありますね。
赤くなっている部分が水没センサーになりますが、本来この部分は白色になっております。
リンゴマークの入ったパーツはバッテリーですが、バッテリーの上側にも少し水滴が残っていることも確認できます。
iPhoneを全バラシにしロジックボードだけを取り外した状態です。
今となってはiPhone修理屋さんは全国各地にありますが、水没修理で持ち込みをした場合はどの店舗もこの状態にまでしていると思います。
肉眼では水没していないと思っても実態顕微鏡などで基盤を確認すると錆が回っていることもよくありますのでこれを治せるかが修理店の腕の見せ所です。
水没してから画面が映らなくなった場合は画面だけを交換すれば良いのではと感じるかもしれませんが、実際のところはこっち(ロジックボード)の方が重要です。
iPhoneのデータはロジックボードに埋め込まれている為にロジックボードが直らないとデータ復旧も難しいのです。
わかりやすく言ってしまえばパソコンに繋げてもiTunesで同期ができません。
さらにロジックボードを分解しましたが、鉄のプレート内部まで液体混入がありました。
赤丸部分をよく見ると白っぽくなっているのがわかりますでしょうか?
まだ完全に乾燥しているわけではない為に白い程度ですが、これが完全に乾燥すると青サビに変わります。
さらに時間が経過すると青サビから茶サビに変わり完全に通電しなくなってしまいます。
ガードレールや身近にある鉄を見た時に錆びている事は多々あると思いますが、酸が鉄にあたり乾いた時に錆びていきますよね。
iPhoneが水没してしまった場合は時間との勝負!
上記でiPhoneの水没について詳しく記載をさせて頂きましたが、水没をした場合は本当に時間との勝負です。
水没した日に修理店に持ち込みをすれば復旧率は80%以上、1日経過すると60%位、2日経過すると40%、3日経過すると30%以下と言ったところでしょうか?
これはトイレやお風呂など限りなく水に近い状態で場合であり、海水の場合は上記の半分くらいの復旧率といった所かと思います。
海水浴で水没をさせてしまった場合は地元に帰る前に最寄りのiPhone修理店に相談をした方が良いくらいのレベルですので注意してくださいね!
余談ですが、以前知人がハワイに1週間ほど旅行に行った話ですが、初日にiPhoneを海水パンツの中に入れた状態で海の中に入ってしまったそうです。
もちろんすぐに気づき陸に上がったそうですが、私が万が一の時に教えていた方法で対策を取っておりました。
すぐに電源を切り、iPhone自体を蛇口の水道水でじゃぶじゃぶ洗いそのままジップロックに入れて日本に帰国です。
日本に帰国後すぐに水没したiPhoneを持ってきて頂きましたが、帰国後に話を聞いただけで無理!と決めつけておりました。
いざ分解をしてみると完全に乾いているわけではなくまだ濡れた状態でした。
私が預かったのは水没してから約1週間後になるわけですが、ジップロックおそるべし。
間違っても乾燥剤や米びつに突っ込む行為はなしですね。
電話帳、ライン、写真などがおそらく数千件はある方なので、iPhoneを直すよりもデータを気にされておりました。
調査をした限りではバッテリー故障、液晶故障は確定で、基盤はなんとかいけるかもしれない!と思い、試行錯誤で修理に入りました。
採取的にはデータの取り出しはできましたが、トータルの修理となると結構な高額になってしまい正常動作品の中古を買った方が無難なためにデータの取り出しのみをしております。
マメにiCloudやiTunesでバックアップを取っている場合は水没してもデータを戻せますが、全くバックアップを取っていない場合は死活問題です。
水没はいつ起きてしまうか誰も予測ができないため故障の為に、バックアップは最低でも月に1回は取った方が良いですね。
iPhone修理店で水没修理をした後の保証について
ここは結構重要です。
iPhone修理店は右肩上がりで増えておりますが、水没修理に強いお店、弱いお店が存在します。
修理店を探す場合にiPhoneやパソコンを使って検索する方は多いと思いますが、そのお店の修理実績(特に水没修理、基盤修理)を確認することをお勧めいたします。
iPhoneの故障の9割程度が液晶割れ、ガラス割れですが、この内容に関しては正直初心者でも1日で覚えられるレベルであり、だから修理店は右肩上がりで増えているのです。
ですので液晶割れ、ガラス割れに関しては最寄りの店舗でも問題なく直す事ができると思いますが、水没修理は全く別物とお考えください。
水没して修理店に持ち込んだ事がある方でしたらわかると思いますが、修理ができてもできなくても調査費用がかかる場合が多いです。
水没修理が成功した場合でもどこの修理をしたのかしっかりと確認しておいた方が良いでしょう!
ドボンとiPhoneが水没してしまった場合は液晶やドックコネクターも水に浸かっているわけですから後になって水没による後遺症が出るなんてことも普通にございます。
ですのでそこが保証範囲の問題になりますね。
おそらくどこの修理店でも保証範囲は修理した部分のみという形を取っていると思いますが、万が一基盤のみを洗浄し無事修理が終わった!と思っても後に液晶も被害を受けていたという事も十分あり得ますから。
また、水没修理を1時間で行う店と、2、3時間かけて行う店では調査できる範囲は異なりますが、1時間で水没修理をし、その後半年から1年間全く問題なくiPhoneが使用できる状態であればその修理店は本物ですね。